第1章 〔ひさご〕での日々

9/74
前へ
/278ページ
次へ
「のんちゃん。おでんもお願いね」 「は~い」 のぞみは女将さんに言われるまま、いそいそとカウンターの上に置かれたおでんを持って行った。 「いらっしゃいませ!」 お客さんが入って来るのを見たのぞみは、すぐに、にこやかに笑って声を掛けた。 「お静さん、新しい子が入ったんだね!」 「娘ののぞみです。宜しゅう頼みます」 次から次にお客さんが来て、店はすぐに満員になった。 本能寺に、湯豆腐、鯛の姿煮、魚ちり、お造りといろいろ注文されて、手際良くこなしていくのぞみの姿に女将さんは満足気だった。
/278ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加