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会場はだんだんと人が増えてきた。 男女は半々、年代は様々、50人くらいかな。 色んな人がいる。 みんな学校行きながらとか働きながらとか小説一本とかそれぞれに楽しんでいるんだよね。 素敵。 そして横川くんと話しながらもだんだん気も漫ろになってくる。 もうこの中にいるのかな、機械人間さん。 会場の真ん中でマイクを持った男性が話し出した。 『みなさん、こんばんは! 交流会を始めたいと思います。 なんとなくの輪になってもらえますかー!』 さすが大人の集まり、みんなザワザワしながらもすーっと二重の輪が出来た。 男性が輪の真ん中に入り話し始める。 『いいですね!ありがとうございます。 初めまして、コミュニティ管理人の空田翼です。 今日はたくさんの方に集まって頂いて嬉しいです。 今からマイクを回しますので自己紹介お願いします! 恥ずかしい方はどこから来たかだけ教えて下さい!』 うっ…。 自己紹介のピンチ、再びー! 恥ずかしかったらいいって言ってくれたからここも回避だなぁ。 桜野さんに続きやり取りさせて頂いてる方々、ご挨拶できずごめんなさい…。 そして全員で自己紹介ということは! ‘機械人間です’と名乗る方が出てくるかもしれないよね? 自分のことは棚に上げてなんだけど、回避しないでもらいたいなぁ。 ドキドキしてきた…。 手が震える。 足が震える。 胸が、震える。 あの方かな。 それともあっち? いや、もしかしたら女性かもしれないし、勝手に予想をたてるのはやめよう。 視線を感じて横川くんを見ると、ニヤニヤしながら私を見ている。 『なにソワソワしてんの? ま、マイクを持っての自己紹介は緊張するよなー。』 さっきから何かとニヤニヤするなぁ。 何なんだろう? 横川くんがそんな感じだから緊張も和らいで助かるけど。 そうこうしている間に自己紹介の半分が過ぎた。 名前を名乗る人名乗らない人は半々くらいでちょっとホッとする。 全員が名乗っていたらさすがに言わなきゃダメかなとも思ってたから。 まだ機械人間さんは現れない。 来てないのか、名乗っていないのか。 諦めかけてドキドキが静まってきた頃にマイクが回ってきた。 『桜野さん、この度はおめでとうございます。 東京から来ました。 よろしくお願いします。』 無難な挨拶で済ませた。 隣の横川くんにマイクを渡す。 またニヤリとして受け取った。 だから何なのよ…? 『高校2年生でこのサイトに登録し、その頃から桜野さんとはやり取りさせてもらってます。 この度はおめでとうございます。 機械人間の名前で執筆してます。 よろしくお願いします。』 ………………………。 口をあんぐり開けて見上げた私にしれっとVサインをしてみせた。 …えっーーー!!
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