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私は同じ小説サイトにいる機械人間さんに恋をしている。
作品を読んでその感性に触れ、エッセイを読んで心の中に触れて…夢中になった。
エッセイを読むと30歳前後のサラリーマンのようだけど、本当かどうかはわからない。
顔も知らない。
こんな風に恋に落ちることもあるのだと…28歳にして初めて知った。
機械人間さんも来るかもしれない。
挨拶するのが目的だけど、ここに来た原動力は100%この下心だ。
来ないかもしれない。
来ていてもその方が機械人間さんだとはわからないかもしれない。
それでも話すチャンスはあるかもしれない。
初対面の桜野さんに挨拶する緊張と知らない人の中に入っていく緊張と機械人間さんに会えるかもしれない緊張で…心臓が跳ね上がりますます足が震え、手まで震えてきた。
呼吸が荒くなって吐く息もますます白い。
ううっ…がんばれ月夜行!
これはチャンスだと、せっかくここまで来たんじゃない!
心の中で自分を鼓舞して‘よし!’と小さくガッツポーズをしたら後ろから肩を叩かれた。
『ぎゃ!』
驚いて振り返る。
『うわぁぁ!』
顔を見てもっと驚いた。
『顔を見てさらに叫ぶってどーゆーシステムだよ。
面白ぇなぁ。』
…後ろにいたのはニヤニヤしている同じ部署の横川くんだった。
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