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   早速裕翔は手紙を読んだ。手紙には、「もう飛燕は来ない。戦地に行った。お前に会う気はないってさ」と書いた。  愛しているとか、乳首を吸われて救われたとか、そういうことは書いてやらない。 「なんだよこれ。お前、なんか嫌なことでもあったのか?」  裕翔が言う。もちろん部屋には裕翔だけ。 「……そういや、昨日俺が引っ込んだのって、飛燕とセックスしてる最中だったような…………まさかお前っ! 飛燕に乱暴したのかっ!」  的外れな推理にイライラした。違う、と伝えたくても、その手段はない。 「ったく……ほんとどうしようもない奴。ああくそ……心配だあーっ! っていうか戦地って……戦地もだいぶ危ないよな? ああ……大丈夫かな…………」  裕翔はしばらく一人で騒いだ後、思い立ったように机に向かった。何か書き出した。  飛燕への手紙だろうか。「飛燕、昨日は会えて嬉しかった」と、むず痒くなるような書き出しで言葉を連ねていく。  よくもまあそんな長々と愛の告白が書けるものだと感心していた兎斗だったが、「昨日、途中から兎斗に変わっていた。もし酷いことをされたならそれは兎斗だ」と書かれた時には、カッと頭に血が上った。 「う……なんか頭が痛い……熱、かな……?」  そう言うなり、裕翔は横になった。  それから間も無く、兎斗に体が戻った。兎斗は、裕翔が書いた手紙を粉々に引き裂いた。
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