モンスター対策局キックオフ

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モンスター対策局キックオフ

ジムは今でも悲惨な内戦が忘れられない。平和のためにあるはずの科学が私利私欲に利用された結果、暴走しておきたのがあの内戦だ。少なくともジムはそう考えている。 科学は素晴らしいものだ。しかし、人間が制御できなくなったとき、科学は悪魔となり人間を翻弄する。 ―ヘレン…。 戦争末期にヘレンはアポロと共に命を絶った。家のプールで溺死したのだそうだ。アブラハムはうろたえたが、遺体をジムに持ち込んだ。 「このいつ迷い込んだかわからない野良犬は処分してほしい。しかしヘレンは…愛娘は蘇らせて欲しい」 アブラハムは賢くリベラルな政治家のイメージがあるが、実は愚かな男だ。科学は万能な魔法がなにかだと思っている。 「やってみます」 ジムはバスタブにヴェノムを注ぎ、ヘレンとアポロを入れた。このままにしても腐るだけだ。ならば醜く腐るよりはきれいな水にして荒れ野にでも撒こう。きれいな花でも咲くかもしれない。そう考えたのだ。
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