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しかし、彼は気を取り直して言った。
「そうかい。まあ、激痛もいずれは終わるだろうよ」
声は震えていた。ジムは例の飴を渡した。
「好きだろ、甘いもの」
「最後に甘い夢を見せてあげましょうか」
ヘレンがサンダーの体を撫で回し誘惑する。がサンダーは乗らなかった。
「あんたは美人だが、あそこにいた女看守のほうがいい。ゴリラみたいだがあそことテクニックが良かった。それこそ溶けちまうかと思ったね」
「呆れた。まあせいぜい地獄の苦しみを味わって私を愉しませて」
弔いの鐘が鳴る。開けると蜜色の液体のみがたぷん、と揺れた。かなり暴れた痕跡がある。絶命までには時間がかかったようだ。ジムはバスタブを動かした。あらかじめローラーをつけていて良かった。
更に数時間後、サンダーは起きた。バスタブからゴトンと音がする。服はそばにおいてやった。
「起きたか」
「ああ。あんたのボスは悪趣味よ」
例の痣は右頬に出たようだ。大きな痣でも失われない男っぷりには感嘆するしかなかった。
サンダーには雷でできた鎖を操る能力という訳の分からない能力と、体術のスキルが与えられた。もともと高い運動能力を更に高めたのだそうだ。
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