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研究所に帰ると、女性と一匹の犬がいた。女性は美しい金髪と青い瞳が印象的だった。まるで名画のように艶めかしい女性に息を呑む。
「ジム、私を忘れたの。私よ、ヘレンよ」
ヘレンの姿を思い出す。今纏っている服はジムの白衣だが、白いワンピースを着た少女を連想すれば、確かに同じような気もする。
犬がジムに飛びつく。白い犬でアポロに似ている。八つの斑があったこと、やたらきれいになっていたこと以外は昔と変わらない。
「お久しぶり、ジム。会いたかったわ」
ヘレンはジムの頬にキスをした。
「年を取っただろう」
「いいえ、あなたも変わらないわ」
驚いたことにヘレンはすぐに街に順応した。一週間もすると、派手なメイクに派手なドレスを纏うようになった。黒革のドレスにグローブにサイハイブーツといった出で立ちだ。メイクはドラァグクイーンを彷彿させる。
「もう少し清楚にまとめたほうが…」
「私は大人よ。それに考えた結果のこれなの」
確かに、悪の幹部かと見まごうような装いはヘレンによく似合っていた。烏の濡れ羽色の、腰までスリットの入った露出の高いドレスはヘレンのセクシーさを引き立てている。
「ジムもそんな年がわかる姿はやめたら。私がコーディネートしてあげるわ」
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