タウンズビル八犬伝 第六話 三犬士

モンスター対策局キックオフ

アブラハムのもとにヘレン蘇生の報告をしたとき、辺りは騒然とした。ネット付きの黒い帽子に胸元までさらけ出した、深いスリット入りの黒革ドレス、黒のグローブ、黒のラメ入りの高いピンヒールのサイハイブーツといった出で立ちで前市長室に現れたのだ。
補足すると、現市長のチャールズは市長になりたてであるため、前市長の補佐のもとで業務をこなしていた。
「久しぶり、パパ」
隣りにいるのは白衣に胸まで開いた蛍光グリーンのシャツ、頭には茶髪のかつらを被り、サングラスを掛けたジムだ。まるでファッションショーだ。真面目一辺倒に生きてきたジムはまさか人生でこのような装いをするとは思わなかったが、今はこれが制服なのだ。
アブラハムは動揺したが、ジムの説明で一応納得したようだ。ジムはまだ中身は真面目だった頃と変わらなかった。
「パパ、私から提案があるの」
ダークレッドに塗ったリップが前市長に囁く。