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本部に戻り、国際電話をかける。実家はエリアOの沿岸部にあるとある経済都市だった。
ピアノ曲の着信音が流れるもつながらない。忙しいのだろうか。
結局三月三十日当日まで話せずじまいだった。一度出たが、電話に出たのは十歳くらいの子供だった。幼いながら少しエリアAの言葉はわかるようだった。
「チェン・レイは僕ですが何でしょうか」
母親に代わってというと切られてしまった。
チェン・レイは派手な柄の胸を大きく開いたシャツにゴールドのネックレス、ジーパンという出で立ちで現れた。今回はシャワーを浴びたようで石鹸の香りがした。
「ヘイガイ、久々のシャバはどうだい」
「ああ、悪くないね」
タバコを薦めるといらないといわれた。
「高いしあそこによくないから吸わないよ。それより腹が減った。ドーナツ食べたい」
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