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近くのチェーン店に入った。派手な姿の男二人が入るには似つかわしくないが、チェンは気にしている様子はなかった。大きなサイズのものを四個も頼んでおいて、前に並んでいた男性と同じクリームたっぷりのドーナツが羨ましいからという理由で直前になって注文した。すれ違った肥満体の男性が皿とチェンを見比べていた。
チェンは食欲旺盛な男だった。ドーナツを次から次へと平らげる。細身の体によく入るものだと感心した。
「あんた食べないの」
マーブルチョコが乗ったドーナツを半分くれたので頂いた。甘ったるい味がした。初老にはこたえる。
「チェン、つかぬことを…」
「サンダー」
じっと見つめてきた。
「俺はサンダーね。チェンレイは仮名よ。サンダーと呼ぶね」
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