0人が本棚に入れています
本棚に追加
「約束?」三好が眉を曲げる。「誰との?」
「ああ、そうだ」アタルは思い出したように言い、「今まで言ってなかったけど」と、わたしたち三人の顔を順繰りに見た。
「俺、彼女がいてさ」
アタルの急な告白に、わたしたち三人はあっけにとられた。
「は?」瑠奈が言う。「どこに? うちの学校の人?」
「違うよ。隣の市に住んでる。朝の電車がいっしょで仲良くなって、付き合うようになったんだ」
「え、ちょっと待てよ」三好が戸惑っている。「いつ? いつから付き合ってた?」
「二年の夏から」
「えー」三好が砂浜に座り込む。「マジかよ、なんで言わねーんだよ」
「だって訊かれなかったし」アタルは平然と答えた。
「でも、放課後とかずっと俺らといっしょにいたじゃん? いつ会ってた?」
「彼女、二つ年上の社会人だから平日は忙しくて。土日に会ってたよ」
「ああ」三好は腑に落ちたようだ。「たしかに俺たちは平日しか遊んでなかったな」
「へえ、年上の社会人かあ」瑠奈は目を丸くしてアタルを見ている。「さすがだわ。アタルってモテるもんね。賢いし、三好みたいにうるさくないし」
「俺を比較対象にすんなよ」三好は瑠奈に苦言を呈した。
最初のコメントを投稿しよう!