水性ラブレター

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「約束?」三好が眉を曲げる。「誰との?」 「ああ、そうだ」アタルは思い出したように言い、「今まで言ってなかったけど」と、わたしたち三人の顔を順繰りに見た。 「俺、彼女がいてさ」  アタルの急な告白に、わたしたち三人はあっけにとられた。 「は?」瑠奈が言う。「どこに? うちの学校の人?」 「違うよ。隣の市に住んでる。朝の電車がいっしょで仲良くなって、付き合うようになったんだ」 「え、ちょっと待てよ」三好が戸惑っている。「いつ? いつから付き合ってた?」 「二年の夏から」 「えー」三好が砂浜に座り込む。「マジかよ、なんで言わねーんだよ」 「だって訊かれなかったし」アタルは平然と答えた。 「でも、放課後とかずっと俺らといっしょにいたじゃん? いつ会ってた?」 「彼女、二つ年上の社会人だから平日は忙しくて。土日に会ってたよ」 「ああ」三好は腑に落ちたようだ。「たしかに俺たちは平日しか遊んでなかったな」 「へえ、年上の社会人かあ」瑠奈は目を丸くしてアタルを見ている。「さすがだわ。アタルってモテるもんね。賢いし、三好みたいにうるさくないし」 「俺を比較対象にすんなよ」三好は瑠奈に苦言を呈した。
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