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「そうだな~目出たい事は、早く済ませた方が良いからな」
もう、かなり酔っている正明は、そう言うと、ごろりと横になり
「早く結婚すれば、早く子供が生まれるからな」と言う。
「子供だなんて、、」「学生なのに」明弘と月緒の顔が赤くなる。
「冗談で言ってるんじゃないぞ、お前は、それでなくても、良い歳なんだ。
子供と一緒に、遊んでやる体力が有るうちに、子供は作るべきだ。
一緒に遊んでくれない父親なんか、子供には、無用な長物だからな」
「その通り!!流石お父さん、人生の先輩の言う事には、重みが有るな~」
と、誠が、感激した目で言う。
「、、、それはそうだけど」「学業と、子育ての両立なんて、出来るかな~」
明弘と月緒がそう言うと「その為に、居るのが私達ですよ」と、孝子が言う。
「月緒ちゃんが、学校へ行っている間は、私が、責任をもって
子供の面倒を見ます」「勿論、俺だって、面倒見るからな」と、正明が言い
「私も、私も」と、誠も言う。
「私もって、お父さんは、アメリカでしょ」月緒が、呆れた声で言う。
「いや、アメリカの会社は、ライナスに任せて
私は、日本に帰る事にしたんだ」「ええ~っ」
ライナスと言うのは、誠の右腕として、活躍している人だった。
「月緒が、日本に居るのに、私が、アメリカに居る意味は無いからね」
そう言って呉れる、誠の父親としての、暖かさが嬉しい。
「要するにだ、月緒ちゃんは、何も心配しないで
やりたい事を、やれば良いんだ」「そうそう、我が家の嫁としてや
明弘の妻としては、今まで通り、学生としては、友達を作って楽しんで
もし、子供が出来たら、母として頑張れば良いのよ」と、孝子が言い
「時々は、私の娘として、甘えて呉れると嬉しいな~」と、誠も言う。
月緒の目の前に、一気に明るい未来が開けた。
私は、明さん以外にも、こんなに沢山の人に守られているんだ。
この先に進むのに、何も、躊躇する事は無い、そうだ、進むだけだ。
私が、幸せになる事が、守って呉れる皆の、喜びなんだ。
月緒は、家族に愛される喜びを知って震える。
そして思う、母が死んでしまった、辛かった日々を。
あの時は、死ぬ程苦しかった、何度も死のうとした。
だが、死ななくて良かった、本当に良かった!!
こんなに幸せになれたのも、明さんが、お隣さんだったからだ。
そう思っている月緒の手を、暖かな明弘の手が、ぎゅっと握った。 (完)
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