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「拓海って、何でもポケットだね。たまにはプレゼントした鞄、使ってよ」
美羽が口を尖らせた。
俺の家でダラダラ過ごす午後。美羽が作ったカルボナーラでビールを飲んでゲームをする。カルボナーラじゃなく、ミートソースかナポリタンならもっといいんだが。
食後、勝手に掃除を始めた美羽はバッグが棚に置きっぱなしなのに気づいてしまった。まあ、埃でバレるよな。
確かにバッグ、一度しか使ってない。もらって最初のデートで使ったきりだ。いい革でかっこいいとは思ったけれど、いまいち、バッグの必要性がわからない。
最近、支払いはスマホだから、財布は持たないし、トイレにはハンドドライヤーがあるから、ハンカチも持たない。
入れるとしたら、スマホ? ほとんど、手に持っているのに? 鍵? それこそ、ポケットでいいじゃん。
それに俺は特別だから。
「何でもポケットに入るから、困らないんだよ」
そう言いながら、デニムの後ろポケットにスマホを入れた。
「ほら、わからないだろ」
後ろを向いて、お尻を見せる。
ポケットからスマホは突き出ない。何も入っていないように見えるはずだ。
「え、あれ?」
美羽が俺のお尻をペタペタと触った。
「入っていないじゃない」
「入ってるよ」
俺はスマホを取り出して見せた。
「嘘っ。マジック?」
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