ジ・エンド・オブ・ソニック・ヴァイブレーション

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「まったく、私はもう、何事かと思いましたよ」  職員室の片隅で、音田先生が僕にコーヒーをくれた。  あの後、神谷ユキは「あーなんかすごい体験だった」と言って元気に下校していった。  それでも、体に接触したりして、悪いことをしたと思う。改めて、明日にでもちゃんと謝らなくてはいけない。  あとできれば、僕と音田先生の交際についても口止めしておきたいけれど。 「僕もですよ。ホラー映画なんかよりずっと怖かったかもしれない」 「共振現象がですか?」 「いえ、音田先生がです。あんな顔、僕、初めて見ました」  もう、と音田先生が笑った。  でも傷ついていないわけがない。自分の彼氏が、女子高生と抱き合っていたのだから。  彼女にもなにかしらの償いをしなくてはな。  でもとりあえずは、明日の授業の準備だ。  今日のテストの丸つけもまだ終わっていない。  僕は自分が担任しているクラスの生徒たちの顔を一つ一つ思い浮かべながら、小テストの紙束と、赤ペンを手に取った。 終
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