ションブルに花束を。

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「MOTTAINAI。良い言葉です。なぜならばプロ意識というものはとても難しい。水も同様、持つ事も保つ事もネバアゲィンというものです」  プロ意識、あるいは美意識というものは止めるまで、それを崩すような欲望から目を背け続けなければならない。  積み上げるという点に於いて、それらは彼の意識ととてもよく似ているが。 「妥協しますか?気持ちを緩めますか?諦めますか?止めますか?死にますか?プロ意識を継続するためには何かを捨てるというネガティブな思考が必要です」  似ているという言葉は、異なるという意味である。 「そして残念な事にそれはションブルの質を著しく下げます。ストレスは必要なものですが、それがネガティブなものではアイドラウンドと言わざるをえません」  プロ意識は、特別な者にしか得られない。 「ひきかえ、これだけ頑張ったのにもったいない、という貧乏根性ならどうでしょう?それはポジティブなストレスですししし、厳格さは必要ありません。誰でも持っているのですすかから。私は水が嫌いだ、貴方も、赤ん坊ですら貧乏根性を持っているるのですす」  ションブルは特別なものではないのだ。 「貧乏根性にはカタルシスが宿ります。死にました。それはプロ意識では決して得られないエクスペリメントなのです」  冷えた部屋、良質な睡眠、厳選されたミネラルウォーターを充分に摂り、尿意を待つ。 「ハヴァナイスディ!ションブル!ただひとつの生理現象!」  彼は、本当にそれだけの人、だったのだ。  誰もいない寝室で、誰にも届かないプレゼンを繰り返す彼。  彼の道が僅かでも違えていれば、と、願う人もいたのかもしれない。  しかし求道とはそういうものである。他者の理解が得られるかどうかは、重要な事ではないのだ。 「さあ今日から始めましょう。私はは既にみみみ水が嫌いだ」  私は頷く。最後にもう一度聞けてよかった。 「ションブルのインベスティゲーションはライフのインベスティゲーションション、ション。そそのグリィドゥはユユユユーのライフフフをリッチにソソソソソソソマッチモア、ア、あ、あ、あででですすすす」  今日で三年目。 「ウォゥタァ、ウォウタァ、ウォウタァ、ウォウタァ、私は水が嫌いだみみみみ……」  リビングのみで生活するのに苦はないが、煩いしやや飽きた。それでなくとも来月から家賃が元の値に戻ってしまう。 「とりわけ水には注意を払わなければいけません!」  なにより、失禁する程に震え慄く体験が、私はもっと欲しいのだから。 「苦しい!苦しい!水を止めてくれ!水を止めてくれ!私は水が嫌いだ!大嫌いだ!」  そっとドアを閉じる。  次は何が出るだろう、とても楽しみだ。
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