13177人が本棚に入れています
本棚に追加
/301ページ
3.浮気の証拠?
そして後日、叔父様にお見合いOKと返事をした。
今回のお見合いは断る前提だし、その尚哉には叔父様に返事をした後に話があるとメッセージを送っておいた。
今度はすぐ既読が付いて、「どうした?」と一言だけど。
仕事帰りに尚哉のマンションに寄ると伝えると、「20時位なら戻ってる。待ってるよ」とのことだった。
どこか途中の店で待ち合わせも考えたが、なぜか部屋を見たいと思ったのだ。そう。何か浮気の証拠のようなものがあるかもしれないし。
20時を回ったくらいに尚哉の部屋のインターフォンを鳴らすとすぐにドアが開いて、ルームウェアの尚哉が笑顔で迎えてくれた。シャワーでも浴びた後だろうか。タオルを首に掛けた姿で、彼の髪はまだ濡れている。
そして私を抱きしめキスをして「おつかれ」と囁き、再度キスをする。
尚哉が立っている玄関。
そのシューズボックスの上には、サンセベリアにフォトフレーム?それに鏡ってなに?まるで女性の部屋の様だ。
そしてそこには、ずっと置いてあったはずのお揃いで買ったガラスの小鳥が見当たらない。ずっと置いてあったのに、どうしたんだろう。
「尚哉。ガラスの小鳥は?」
「ガラスの小鳥って?」
「ほら、ずっと玄関に置いてったお揃いの…」
尚哉は少し考えると、思い出したように「ああ、落としてしまって…」とバツが悪そうに答えた。尚哉にとっては考えないと思い出せないほどの価値しかなかったのかな。
中に入ってチラッと部屋を見回すと、見たことのないものがチラホラ置かれていて、その趣味は尚哉の物ものではないとすぐにわかる。
ぱっと見、女性が使うような物は見える範囲には見当たらないけど、何かが違う。
そう…わずかだが甘い香りが残っている。
最初のコメントを投稿しよう!