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「この間はごめんな。スマホが壊れるなんて思わなくてさ。連絡も取れなかったから、心配させてると気が気じゃなくて。これ、お土産」
尚弥の手には、エメラルドグリーンのガラス玉がきれいなピアスがあった。
「ガラス細工の店があったんだ。そこで、夏に似合うと思って」
私の耳に当てて、ほらと言わんばかりの顔をする。
「私に?ありがとう。わざわざ買ってこなくても良かったのに。それに、連絡できなかったんじゃ仕方ないよ。心配だったけどね。でも、その分埋め合わせしてもらわなきゃ」
「わかってる。今度、旅行でも行こうか?二人ゆっくりしない?」
「本当?でも二人で行くと夫婦に見られちゃうかもよ」
「俺は構わないけど、夏は嫌なの?」
尚哉の言葉が嬉しくて岩城さんの事は間違いだったのだろうと思いたかったが、もう少しきちんと調べたかった。
確証が欲しい。でも怖い。
「じゃあ、メリーディ―に行きたいな」
「メリーディ―?」
「うん。なかなか予約が取れないって言ってた多国籍料理の店だよ」
「あ……あの店…」
「どうしたの?尚哉も行ったことないって言ってたでしょ?」
尚哉の目が泳いでいるのをはっきりと見てしまい、このままだと耐えられそうになくて話題を変えた。
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