3.浮気の証拠?

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 洗面所で手を洗って、使ったティッシュをゴミ箱へと視線を落とすと、そこには使い捨てのコンタクトレンズの入れ物が捨ててある。  それもカラー付きの度入りだ。  私も尚哉も視力はいいから、誰か他の人のものだ。  疑惑に対して抗っていた心に音を立ててヒビが入る。 「じゃあ、もう帰るね」  そう言い残し、一刻も早くこの場から立ち去りたい。  気持ちを隠して後ろ手にドアを閉めた。  そしてマンションを出て駅まで走った。後ろを振り返ることもせず、ただただ尚哉から距離を取りたかった。    駅の改札を抜けて電車に乗り、外を見ながら深呼吸をした。  スマホの通知音が鳴り画面に視線を向けると【追いかけたのにいない。もう電車に乗った?返事待ってる】と尚哉からのメッセージが表示され、思わず涙が流れた。  (浮気をしているくせに、どうしてこんなに優しくするの?)  尚哉が理解できなくて、ただただ涙が流れた。  家に着いてから【わざわざごめんね。ありがとう】とだけ送り返し、スマホをバッグに放りこむ。  そして、モヤモヤする気持ちを追いやるようにシャワーを浴びて早々にベッドにもぐりこむ。  明日、三屋先輩に話をしよう。それにしっかりとした証拠を掴んでやる。  そしたら別れ一択だ。  その浮気相手に熨斗(のし)を付けてくれてやる。  でも、もし、もし、シロならきちんと謝ろう。  疑ったことを心から謝ろう。  それで許してくれないなら仕方ないよね
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