7.鷲生SIDE

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 上階のレストランに着いてから、また心此処に非ずといった状態になった彼女を見ていると、あの二人になぜか苛立ちを覚えた。  他人のことでこんなに不快に感じたことは今までにない。  所詮、他人は他人。自分に影響がないのであれば気にする必要もないし関わる必要もないのだから。 しかし、今はそう思わなかった。  短い時間だが、彼女と話したことで彼女に対する印象が良かったのかもしれない。  彼女はラウンジで彼氏がクロであれば別れるとはっきりと言っていた。  そこまで言い切る彼女の姿は潔くて、清楚な大人しそうなイメージは一瞬で覆された。  彼女の先程までの憂いを帯びた瞳は、今では力強い輝きを放っているのだから。  その瞳に惹かれたのかもしれない。  柄にもなく、証拠を掴む手伝いを買って出た。  普段なら他人事だと済ませることだが、今回は最後はどうなるのか興味がある。  幸いにも、父に仕事の段取りを組まれたおかげで時間はある。
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