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彼女をマンションまで送った後、野元に連絡を取った。
野元は調査事務所の所長で、その事務所はリエースが発注する調査のすべてを行っている。
人を一人調べるくらいはお手の物だろう。
あらかたの情報は伝えたが、詳細は夏姫から伝えさせたほうが彼女も信頼するはずだ。
そして翌週の土曜。
夏姫と出掛ける日になり、予定のない久しぶりの休みはとても不思議に感じた。
夏姫を迎えに行き、どこか行きたいところはないかと聞くと、目を輝かせて国立博物館だと言い切った。
表参道や六本木とか言うのかと思っていたら、まさか国立博物館とは思わなかった。
しまいには、法隆寺夢殿の救世観音の話までし始めた。あの俗説は随分前のもので、まさか夏姫が知っているとは思わなかった。
本当に驚かされる。
国立博物館では正倉院展が開催されていて、夏姫は一つ一つをじっくりと見て、お互いに感想を話し合ったりしながら館内を回った。
最後には目録を買ってニコニコしている姿を見ていると、妙に可笑しい。
彼女のイメージがどんどんと書き換えられていく。
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