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8.あと一週間
藤森さんとの一回目のデート(仮)の翌日。
最初は尚哉と会うことになっていたんだけど、突然のキャンセル。
なんでも、地方にいる友達が突然訪ねてきたとか。ホントなんだかどうだか知らないけど、どうやって断ろうかと思っていたからちょうどよかった。
友達かどうかは野元さんがきちんと調べてくれるだろうから、気にしないでおこう。
そのキャンセルの代わりに、休み明けに食事の約束をすることになった。これは仕方ない。諦めよう。
思いがけずに空いた日曜。
藤森さんから教えてもらった機能の付いたボイスレコーダーを調べて、これだと思った機種を買おうと量販店へと向かった。
念のため、店員さんにも質問をしてみると、買う予定だった機種は付属のスピーカーにセットすることで充電も出できて、ラジオを予約録音もできるらしい。
買ったら語学番組でも録音してみよう。尚哉との会話を録音するのもありかもしれない。
でも、しっぽを出すような話はしなさそうだし、使うことはないかな?
そして、そのスピーカー付きの機種は在庫もありすぐ購入。帰ったらしっかりと説明書を読んで使いこなせるようにしておかないと。
外出したついでにお昼も食べていこうかなと普段は通らないような路地を進んでいくと、どこからかスパイシーな香りが漂ってきた。
(カレーでも食べていこうかな)
この香りはどこからするんだろうと周囲を見回すと、数軒先にパキスタン料理の店があった。
間口の小さな奥行きのある店だけど、その店先の飾りやペイントが日本のそれとは全く違う異国情緒がこれでもかとあふれている。その間口の狭さを感じさせないほどの存在感だ。
この店だ!とそのまま入店して、店頭で見たメニューの中から、じゃがいもとマトンのカレーとナンのセットを注文した。
パキスタン料理って初めて食べるけど、インド料理とも似ている。
じゃがいもとマトンのカレーはじゃがいももゴロゴロしていて、マトンも柔らかくてホロホロ。
ナンも柔らかくて美味しい。ちょっと辛いけど、癖になりそう。
今度、先輩にも教えなきゃ。
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