8.あと一週間

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 日曜の約束がキャンセルになった代わりに、尚哉とは月曜に待ち合わせて食事に行った。  会社から二駅ほど離れた駅前にある店で待ち合わせをして久しぶりにゆっくりと食事をした。  尚哉が好きなイタリアンで、リストランテというよりトラットリアという感じの店だ。その方が気楽で過ごせるので、良かったかも。  私はサーモンとほうれん草のパスタを頼んで、尚哉はリッチョディマーレを頼んだ。  マヨネーズベースのソースがかかった海老とブロッコリーのサラダは大皿で頼んでシェアした。  白のグラスワインも頼んで、ゆっくりと話をしたが、尚哉とこんな風に時間を過ごすのは久しぶりかもしれない。  でも、この空間の雰囲気は、楽しくて、気まずくて、裏の探り合い。 「それで、どうだったんだ?」 「なにが?」  尚哉が至極真面目な顔をしそう問いかけてくるので、何か聞かれるようなことがあっただろうかと首を傾げた。  その姿を見た尚哉は一つ溜息を吐き、呆れるように話をつづけた。 「見合いの相手と出掛けたんだろう?」 「ああ、その話?」  尚哉が聞きたい事はその事だったのかと思い至って、どう話そうか少し考えた。  そんなに話すことはないような気もするし、尚弥が何を知りたいのかわかんないし。  勿論、知られて困ることはないけど、ああ、そういえば調査対象になったことは内緒だよね。 「食事って言ってたけど、どこに行ってきたんだ?」 「それがね、少し時間があって国立博物館に行ってから食事してきたの」 「なんだよそれ、まるでデートじゃないか」  尚哉は博物館など行かないのに、よくデートだと思うなぁ。まあ、あの空間はデートというより自分の興味の追求というか趣味の時間を満喫したというか、よくよく考えてもツアーの同伴者のような感じが否めない。 「それはないよ。見ている間は話もしなかったし、ただ館内を回っただけだったもん」  うん。その通り。展示物については話をしたけど、個人的なことは話していない…はず。  博物館の中ではだけど。 「本当か?俺、心配してたんだぞ」 「大丈夫だよ。相手の人、私より11歳上だし」
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