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「日向くん、君に頼みたい事があってね。お昼はまだだろう?弁当を準備してあるから一緒に食べよう」
白石建設の社長でもある白石祐二は、兄弟だけあって父によく似ている。
でも、厳しい父とは違い優しい顔立ちなのは、年を取ったことでできる目尻の皴?だろうか。
姪の私にはいつも優しい叔父様だ。
「社長、ありがとうございます」
いつもは社長と呼ぶと怒られてしまうけど、誰もいない時は遠慮なく叔父様と声をかけている。
そして秘書の方が持ってきてくれたお弁当は、どうやら特別に作ってもらったものらしく、とても市販品には見えない豪華なものだった。
思い切り食べたい気分だった私は、ありがたくそのお弁当を頂いた。残すことなく綺麗に完食したのは言うまでもない。
そういえば、お弁当を持ってきてくれた秘書さん。西村さんだっけ?初めて見る顔だな。移動してきたのかな?
「実はな、ちょっと頼みづらいんだが」
秘書さんが出ていったことを確認してから私にそう声をかけた。
「叔父様が私に?どんなことですか?」
「それは……」
改まってどんなお願いなのだろう。呼び出してまで話すことだから、何か特別な事か隠したい事か、重要なことなのだろうか。
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