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「……このクソインコ!」
馬鹿にされて怒ったタイムは、血管の浮き出た拳に力を込め頬に寄せてからルゥを捕まえようとするが……このキザ鳥、稚拙なコソドロのもくろみは分かっていたらしい。彼の攻撃を翻しては宙を巡ってティアルの肩へ飛び乗った…かと思えば、そのもくろみも分かっていたようで、彼女めがけてルゥを強引に捕まえようとして、捕まえたかと思えた。
――素早いタイムよりも素早いルゥはすぐに飛来して、また空へと逃走したキザ鳥を捕まえられずに、タイムは真正面にいるティアルと衝突してしまったのだ。
――ドサッ!
「あ、えっと」
「あ、あ……」
「ドスン!」と大きな音を立ててはいるが、ティアルを庇うように抱きしめる形になるタイムに彼女は鼓動を跳ねさせる。
――ドク、ドク、ドクッ!?
数秒間は経っただろう時間にティアルは気づいて押しのけようと試みるが…眼前には泥棒とは思えぬほどの美形がそこにあって…。
「きゃっっ――――!!??」
「うるっさ!??」
(こ、この、人に、こんなかっこいい人に、異性に、)
――初めて、抱き締められた!??
突き飛ばしたティアルは顔を真っ赤にして、息を荒げていた。…彼女は顔をリンゴのように赤くしては困惑と羞恥が入り混ぜた……初めての感情を見せつけるような表情をしていたのである。だが言葉に詰まってなんと言えばいいのか分からない。
――その時。
「ゆるさない……ゆるさない! ティアルは私たちのモノだ!!!」
なんと咲き誇っているセンチメントティアの大群から声が響き渡ったのだ。
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