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言い争う二人に挟まれた形で見えたのは遠巻きにこっちを見てる女子たちの目。
『小声で互いを罵り合う悪魔と関西人の間に立たされている私』というのが真実なのに。
『お似合いの美形カップル、ミスターと姫の間を邪魔しているモブ子』
彼女たちの視線は私に『さっさと去れ、邪魔者』と言わんばかりだ。
わかってるよ、どうせモブは邪魔者ですよー!!
「わ、私、今日の宿題まだやってないから先行くね」
スッとその間を抜けて教室へと急ぐ私に。
「まだやっとらんの? ウチの見せたげよか?」
「水木さん、そういう中途半端な優しさはふうちゃんのためにはならないから。自分のチカラでやれるよね?」
早足で歩く155センチに180センチと165センチがすぐに追いついてくる。
私を挟むような形で教室に雪崩れ込むと。
「おはよう、來人くん」
「咲綾ちゃん、おはよう~!」
二人を囲むように群がってきた女子たちにより弾き飛ばされた私はヨロヨロと自分の席にたどり着く。
「おはよ、望月さん。今朝も大変そうだね」
隣の席でクスクス笑っている男子、梶 洸平くん。
「梶くん、面白がってるでしょ」
「うん、めっちゃ面白い」
「ひどい」
ゴメンゴメンと笑う梶くんは、あの桐生くんの親友だ。
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