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「広花ちゃん、大丈夫?」
「あ、ありがとう。うん、大丈夫だよ」
「一緒にサッカーする?」
首を傾げて尋ねる仕草にキュンとしつつも、首を振った。
「あたしはサッカー出来ないしやらないよ」
「そっかぁ」
すぐに断るあたしに絃くんはしょんぼりと俯く。断ってしまったことが少し申し訳なくなって、ポケットの中にしまったクッキーをまた取り出した。
「あのね、絃くん。クッキー、作ったの。良かったら、食べない?」
「え! ほんとに⁈」
下がっていた視線はパッと花が咲いたみたいに明るくなって、絃くんの表情が煌めく。
「ありがとう! 嬉しい! 食べてみても良い?」
「うん、ごめんね、ちょっと割れちゃったんだけど」
「そんなの全然平気だよー。広花ちゃんが作ってくれたのなら、割れてたって嬉しいもん」
キラキラの笑顔でそう言ってくれる絃くんに、あたしまで嬉しくなる。
さっそく、絃くんはピンクのリボンを解いてクッキーの欠片を頬張った。
「すっごく、おいしいっ‼︎」
キラキラと瞳を輝かせて絃くんは笑った。その笑顔に、あたしまで笑顔になって気持ちが軽くなった。
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