成長期の絃くん

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「あれ? 広花ちゃん、なんか顔赤い……」 「い、いや!」  絃くんの手があたしの額に触れようとした瞬間に、払う様にして避けてしまってあたしはハッとした。 「な、なんでもない。クッキー作るからあっちに行ってて」 「……うん」  追い払われたと思ったのか、しょんぼりと肩を落とす絃くんに、あたしはズキンと胸が痛む。  なんだかあたし、変だ。  秤にかけた材料を混ぜ合わせて、絃くんが持ってきたチョコチップもパラパラと全部混ぜる。生地を一旦冷蔵庫に入れて冷やす。その間にキッチンを片付けて、ホットココアを淹れた。  コトッと絃くんの前にカップを置いて、あたしもソファーに座った。  なんだかぎこちない空気が流れている。あたしが変な態度をとったからかもしれない。 「……広花ちゃんとさ」  そんな空気の中、切り出したのは絃くん。
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