3.後悔

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 * 「啓太、おはよ!」 「はよ……」 「どうした? なんかいつもにも増して覇気がないぞ」  太陽のように、真司が眩しい。 「そうか……? 全然、いつも通りだよ」 「そんな風には全然思えないけど……」 「あ、あのさぁ」 「ん?」 「もし、真司が何かすごく後悔していることがあって、それを相手に話してすっきりしたいとして、話す? すごく自己満足だし、相手じゃなくて自分のためでしかないけど、それでも、話すかな、って……」 「……なんかすごく急だな」  真司はうーんと首をひねった後、「そうだな」と呟いた。 「俺はそういう立場になったことがあんまりないけど……世間一般では話さない方が美徳とされるんだろうなとは思うよ」 「やっぱり……」 「でも、そんなのどうでもよくない? 心の中で辛い思いがあって、苦しいなら楽になりたいと思うのが人間じゃない? 要はさ、啓太が話したいのであれば話したらいいと思うよ。自己満って言うけど、世の中の大半は自己満じゃない? そんな大義名分必要ないと思うけどな。啓太のことなんだから、啓太がそうしたいって気持ちが一番大事だと思うけど」 「そう、かな」 「そうだよ。だから、啓太が話したいと少しでも思っていたら、話したらいいと思うよ」 「ありがとう……」  絞り出すように声を出すと、そのまま視界がゆがんでいく。 「ちょ、おま、大丈夫か」 「わ、悪い、びっくりするよ、な。最近変な夢見ること多いし、悩んでいた、から。でも、大丈夫。ちゃんと、自分の口で、相手に言うよ」  目を擦る。 「俺は、俺の気持ちを大事にしていいんだって、思えたから」  真司がニカッと笑う。 「頑張れよ」 「おう」  空を見上げると、雲が覆いかぶさっている。けれど、そこに一筋の光が差し込んできてくれたような、ほがらかな気持ちになった。
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