4.告白

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「ごめん、あんたを試すようなことして」 「え、ええ」  戸惑うと田畑さんが「ふぅ」と息をついた。 「みいちゃんが死んだとき、自分はみいちゃんのなんの心の支えになれなかったんだと、ずっと悔やんでた。私がちゃんとしてなかったから、みいちゃんは死んだんだって。あんたみたいに、みいちゃんと遊んだり、責められたりする夢も見た。優しいみいちゃんが責めてくるわけないのにね」  俯きながら、薄く、微笑む。 「高校生になった今、みいちゃんのこと、もっと知りたいって思うようになった。自分のせいで死んだって思いたくない保身かもしれないけど。でも、みいちゃんのこと、ちゃんと知って、それからあの時のことを反省したいって強く思ったの。何も知らないまま、勝手に一人で悔やむのは、なんか違う気がして」  顔を少し上げる。 「いろいろ調べていくと、みいちゃんが習字教室に行った時、たまにあんたと一緒に帰っていたことがわかって。その時にいじめっ子たちに囲まれていたこともわかった。そして、あんたが『この人のこと知らない』って言ったことも。それを聞いて、こいつのせいでみいちゃんは追い詰められたんだって強い憤りを感じたのは確かだよ。でも、あんたを責めるのは少しちがうってことも、本当はわかってる。だから」  息を吸う。 「あんたに会って、いろいろ確かめたかった。あんたはみいちゃんの言っていた空想話をちゃんと覚えていたし、責められたくない気持ちはありながらも反省はしていたってわかったし。だから」  射貫くように目を見る。 「一緒に私と、みいちゃんのこと、調べよう。それで一緒に反省しよう。そして、ずっとみいちゃんのこと、忘れないでいよう」 「……わかった」  俺も、ジッと見つめる。 「一緒に、美穂のこと、ちゃんと知ろう」  冷たい風が、サッと流れた。天使が羽ばたいたのだろうか。田畑さんは強張っていた顔を少しだけ緩めて、優しく「よろしく」と呟いた。
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