4.告白

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 * 「で、みぽりんと甘いひと時を過ごした、と」 「やめろ、そんなんじゃない。というかみぽりんは俺が呼んでいるわけじゃないからやめろ」 「でも、楽しそうじゃん。故人を偲んでたくさん書いていくって、なんかその場にその人がいそうだよな」 「まあな。まぁ、美穂が死んだのは俺のせいだけど、田畑さんの話を聞いたりすると知らなかった一面が知れて、よかったよ」 「……あのさ」  真司がまっすぐこちらを見る。 「その、美穂さん?だっけ、その人が死んだのって、本当に啓太のせいなのか?」 「……え、そうだろ。だってあの場でこいつなんか知らねって逃げたんだし……」 「俺は絶対ちがうと思う」  目を丸くしてしまう。 「な、なんで」 「だって、誰だって怖い女に囲まれたら知らん顔して逃げたくなるだろうし……しかもその状況からして、日常的にいじめられていたんじゃないのか、その人」 「それは……そうだと思う。習字教室では俺が知る限り、美穂はいじめられてなかったけど、学校ではちがったと思う」 「ずっといじめられて辛くて、でも頑張って耐えて、そこで信じていた親友に裏切られて、絶望するってドラマでもよくあるけど、お前と美穂さんはそんなに仲良かったのか? せいぜい習い事が一緒で、たまに二人で帰っていたってだけで、お前の言動が自殺するに至ったと、俺は思えないんだが」  まぁ、第三者から見てそう思うのは当然だし、俺は別に美穂の恋人でもなかった。親友だったかと聞かれると、美穂にとってはちがうかもしれない。でも。 「俺は、結構仲良かった、って思ってる。主観的に言えば、だけど」 「そうなのか」 「習字、幼稚園の時から行ってて。だから美穂は幼馴染のようなもので。俺、シイタケが大好きなんだけど、おじいちゃんの近所の人がくれたとかいうシイタケをわざわざ俺にくれたこともあったし。それも何度も」 「美穂さんがシイタケ嫌いで、押し付けてたんじゃないのか」 「いや、美穂はシイタケ好きだった。習字教室のメンバーで焼き肉屋に行ったことがあるんだけど、シイタケ頼んで食べてたし」  網で焼いたシイタケって、こんなに美味しいんだね! と嬉しそうに頬張っていた美穂の笑顔は、未だに覚えている。 「それに、毎回一緒に帰っていたわけじゃないけど……その時間はとても楽しかった。それに美穂の方が早く終わったら、俺が終わるまで待っててくれてたし。逆もまた然りで」
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