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「おっはよ~啓太」
「はよ……真司」
「どうした?なんか元気ないじゃん」
ドキッとする。
「そう?ちょい寝不足かも」
「わかるわ~。俺も昨日サブスクでアニメぶっ通しで見たんだけど、号泣してしまって」
「ご、号泣……」
「そ。もうカレンが死ぬシーンとか涙なしには見れなくてさぁ」
動揺してしまったが、真司はアニメについて語りたかったらしく、永遠にカレンが最高に可愛くて強くてかっこよかったと、ありとあらゆる表現で熱を込めて話している。
「今日から新学期だけど、また同じクラスだといいな」
「そうだな」
校門を通り過ぎ、張り出されているクラス表を確認する。二年六組。真司とも同じだ。
「おおっ。よかった~。俺友達啓太しかいないから、首皮一枚つながった~。高2生活、なんとかなりそうだぜ~」
「そういう嘘はつかなくていい」
「もう本当だって~。確かに俺は人気者ではあるけど、友達はお前だけだって」
「どういうことだよ」
発言は意味不明だけど、俺のことを「友達」という認識で見てくれていることは、正直嬉しい。
「泣きすぎて瞼腫れてしまったけど、これなら啓太と同じクラスになれたうれし涙だと思われるかも。よかった~」
「何がよかったんだよ」
と言いながら、俺も瞼をそっと触ってしまう。朝起きたとき腫れてないことは確認したけれど、もしかすると昨日泣いてしまったのを誰かに指摘されるかもしれない。
昇降口前に置いてある花壇のチューリップが風に揺られて笑っているみたいだった。
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