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右足を引き半身の態勢を取る俺は、高く掲げた左手から次々と花を出現させ、それを空中へと放り投げる。
目の前の子供たちは驚きに満ちた視線を飛び出す花に集めていた。
その隙を逃さず、観客の死角になっているジャケットのポケットに右手を入れる。
左手から出し続けていた花が終わるのと同時に、ポケットの中の物を素早く取り出す。
ポケットには鳩が仕込まれている。
いきなり右手から鳩が現れるのを見た子供たちは驚く顔を見せるだろう。
高らかに右手を掲げる俺は客席の子供たちをドヤ顔で見下ろす。
あれ?
ポカンとしている。
俺の右手を見て驚いてはいるようだが反応が薄い。
いつもだったら、わぁという希望に満ちた笑顔になるのだが。
過去を思い出すと、暑い日にポケットに鳩を入れっぱなしにしていたせいで、ぐったりしてしまったことがあった。
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