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さあ、どうする?
まだ、子供たちはカードの確認を行っている。
動揺を悟られてはいけない。
あくまで予定通りという顔を貫かなければ。
仕方がない。
先週練習したばかりのカードマジックをぶっつけ本番でやってみるしかない。
カードを返しに来た子供がニコニコ顔で俺の目の前にやってきてカードを差し出す。
俺は落ち着いた振りをしたまま、裏返しのままのカードを扇形に開く。
「それでは、このカードの山に戻してください。場所はどこでもいいですよ」
どこにしようかなと真剣に悩む子供は、意を決してカードを真ん中辺りに差し込む。
カードを束ね、先ほど差し込んだカードの場所で二つの山に分ける。
そして自分には見えないように一枚めくり、先ほどのカードであることを観客だけに見せる。
「先ほどのカードはこちらですね」
一応、確認のための儀式だが、頷いたり笑顔を見せる子供たちを見れば、このカードで間違いないことが分かる。
カードの山を束に揃える時に、皆から見えない側のカードの隙間に俺の小指を挟んでおく。
これで観客は先ほどのカードが山の中に入ってしまったと思うはず。
ここからさらに、カードをシャッフルする。
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