二日酔いマジシャン

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俺は地域の手品サークルに加入していて、週末、公民館の一室に集まるメンバーと一緒に練習している。 メンバーは十名ほどだが、ベテランの方の中には人体切断のような大掛かりな装置を使うイリュージョンマジックの使い手もいる。 俺はまだ、新米なので簡単なトリックのマジックを子供や老人相手に披露している。 月に一度は、近所の老人ホームや児童養護施設などに赴き、ボランティアでマジックショーを行っている。 会社関係の人たちには内緒にしていた俺の趣味である手品だが、その新入社員は非常に喜んでくれた。 会話だけでは表情の乏しい地味な女性だったが、俺の手品に目を輝かせて見入る姿を見ると、こんな一面もあるんだと新しい発見をした喜びを感じた。 気が良くなった俺は手品をしながら、フラフラになるまで飲み続けた。
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