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全て『ダイヤの九』なのに納得いくまで充分にシャッフルされたトランプを受け取り、一枚抜き取ってもらう子を探す。
これは誰でも良い。
だって、全て『ダイヤの九』なのだから。
出来れば、低学年の子を選ぶ。
全員参加の雰囲気が出るし、小さい子は感情を素直に表現するから場が盛り上がる。
キラキラした瞳を見開き熱心にカードを選んでいる姿に、こんな純粋な子を騙しているという罪悪感がチラリと過る。
カードを一枚抜き取った子は、俺には絶対に見せないぞというように必死に隠しながら客席に戻る。
観客がカードを確認している間に俺は残りの束を広げ、中身が『ダイヤの九』なのを一応チェックする。
あれ?
手元にあるトランプは全て『ダイヤの九』のはずだったのだが、中身はバラバラである。
おかしい。
あっ、持ってくるトランプを間違えた!
この入れ間違いをしたことには心当たりがあった。
今日、起きた時から続いている二日酔いだ。
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