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「そうか。死体は首から下が埋まっていたな。あれでは分からないが、あいつはサラシを巻いているファッションだったんだ」
「サラシの上には、なにも羽織ってないんですか?」
「なかったな。坊主頭にサラシで徘徊する、お祭り野郎さ」
「変態じゃないですか」
「そう云ってやるな。よさこいをやっていた祖母の、形見の品だったそうだ。沢子が韻を踏んでいただろう? なんだったかな……畳の下に、形見の品の、サラシの死体だ!」
「ああ……」
別にそれで納得もできないけれど。
「考えてみれば、凄い小説のアイデアを持っていたのに殺されたわけだ。非業の死じゃないか。霊となって、この〈くりえいてぃ部〉を彷徨うのも無理はない……」
「そうかも知れないですね」
あまり霊とかを信じていないので、身の入っていない同意になった。
寝惚けていたか、あるいは夢を見ただけじゃないだろうか?
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