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2. 生徒会長と書記
私は木本しおり。
日本有数のお金持ち学園に通っている、高等部一年生。
有名企業の重役や政治家のご子息ご令嬢ばかりのなかで、唯一といっていいくらい希少な庶民だ。
しかも生徒会の書記。
陰でいろいろ言う人は生徒教師問わずいるけれど、今のところ成績で黙らせている感じ。
こういうところが可愛げないって言われるんだろうね。
小さいころから散々言われてきたから、自分でも分かってる。
そんな私には推しがいる。
高等部二年生、生徒会長の一ノ瀬純也先輩だ。
会長は稀有な人だと思う。
眉目秀麗、文武両道。天は何物あたえるんでしょうね? ってくらい、さまざまなことに秀でている。
おじいさんが北欧の人だと噂の、日本人にしては色素が薄い髪と瞳。
スッとのびた鼻筋や身長が高くて足が長いのも、そちらの血が濃いのかもしれない。
テストの点数はいつでも五本の指に入るし、得意のテニスは全国で通じる強さらしい。
しかも書記を希望した私を門前払いにせず、ちゃんと能力を見てくれた。
庶民の私を差別しない人は学園内でも多いけど、区別もしない人はぐっと少なくなる。
もうこのまま日本を背負ってほしい。
政治方面でも芸能方面でもなんでもいい。
国の宝になって。
こういうとき、普通なら恋愛感情を抱くものなのかもしれない。
でも会長はなんかこう……恋愛対象としては現実感がない。
生徒会室で毎日会ってるのに。
自分の気持ちがなんなのか、しばらく考えて腑に落ちた言葉は『推し』だった。
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