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3. ぬい、魔改造されてない?
(いま会長の声がしたよね? コートの中?)
まさかと思い、落としたコートから会長ぬいを取り出した。
パッと見はなんの変化もない。
いや待って……ちょっと、重くなった?
何かおかしいと、ぬいを撫でたり軽く押してみる。
すると「やめないか」とまた会長の声がした。
「えーと、一ノ瀬会長、ですか?」
「いや、違う」
違わんよ会長だよ。
なにこれ。マイク入ってるの?
「でも会長の声がしますよ?」
「違う。信じ難いと思うが、木本が丹精込めて作ってくれたから……奇跡の力で話せるようになったんだ」
「……はい?」
会長って、こういう冗談言う人だったの?
この状況に全くついていけない。
なにが起きてるんだ。
しかもこれマイクだけじゃないよね。
こっちの声が聞こえてるってことは、盗聴器も入ってるよね。
ついでにGPSも入ってるんじゃないだろうか。
「ショックです会長……こんなストーカーまがいのことをする人だとは思いませんでした」
「いや、だから一ノ瀬という男とは異なる存在なのだ」
「そもそもこんな魔改造するとかひどくないですか。見た目一緒なのすごいけど。なんか微妙に縫い目そろってないところも同じなの、無駄に裁縫技術たかいけど、誰が入れたんですか」
「それは爺や……奇跡の力だ」
なんだこの茶番。
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