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そうして豪雪地帯に来て、鬼はもちろんこの際だから妖怪も探してみた。鬼たちからは断られた。長年具合が悪いそうだ。
そしたら雪ん子たちを数人発見。誘ったけど速攻断られた。なんで? って聞いたら二百年前とんでもない怪物と死闘を繰り広げ、百年経ってようやく体が再生したばかり。
そしてさらに百年経った今でもみんな療養中ということだった。確かに気配が薄い。鬼たちもそっか、弱ってたんだな。
「何と戦ったのさ?」
「属性は雪ん子、だと思うけど。あれは俺らから見ても化け物だよ。二百年前、この辺り三か月も猛吹雪が続いたの知らん?」
あったな、そんなこと。生き物が死に絶えて死地となりつつあったっけ。あの時はまだ俺就職してなくて当事者だった。何が起きた、って大混乱よ。ある日突然天気回復したけどな。
「あいつが。山から下りてきて、遊ぼうって笑いながら俺達をいきなり攻撃してきた。みんなで協力したけど敵わなかったんだよ。あいつがいるとね、雪ん子である俺らでさえ身動きとれなくなるくらい猛吹雪になる」
「え、凄い吹雪そいつのせいだったの?」
「いるだけで凄まじいんだ。投げて来る雪玉はもう光の速さみたいだよ。避けるの無理。しかもあいつの妖気が織り交ざってるもんで、当たったら消滅だよ」
「雪崩は起こす、雪の壁を一瞬で作って僕らの攻撃防ぐ。本当に手も足も出なかった」
もう雪山の主じゃんそいつ。怖すぎるわ。
「俺らの中で一番強い蘇芳坊っていうやつが最後一対一で戦った。その間に他の地方の雪ん子と雪の妖怪がやっとかけつけてくれて、なんとか追い払ったんだ。追い払ったっていうか、あいつの気まぐれだったのかもな。俺らが弱すぎて飽きたんだと思う」
強者の気まぐれでかろうじて生き残れたってことか。
蘇芳坊。雪が鮮血で染まるくらいに人間をズタズタにするという、人間から見ればかなり凶悪な雪ん子だそうだ。ただし雪ん子たちからすれば面倒見が良く仲間思いで、みんなの兄貴って感じらしい。そいつも満身創痍だったのか。
「追い払った後、蘇芳坊が雪ん子の力を使って時間をかけて俺らを蘇らせてくれたんだ。そのせいで、蘇芳坊も今むちゃくちゃ弱ってて。とりあえず静かに過ごそうぜってことで、今みんなあまり身動きとれないんだ」
とんでもねえな。もう神の領域じゃねえのそいつ。
「なあ、あんた獄卒なんだろ。頼むよ、あの怪物を封印とか。それこそ地獄に連れて行くことできないのか?」
「どうかなあ。俺は死なないから、まあ会いに行くことはできるけど」
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