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その言葉に、わらわらと雪ん子たちが集まって来る。いたのか、雪の中に。びっくりしたあ。
「やるだけやってよ! 二百年、僕たちずっと怯えて生きてるの! もしまたおりてきたら、あの時程力がないから今度こそ消滅しちゃうよ! この辺りの雪の妖怪がいなくなっちゃう!」
「蘇芳坊にこれ以上負担かけたくない。頼む!」
「じゃ、やってみるかなあ。会話通じればいいけど」
「慎重にな! あいつニヤニヤ笑って何も言わないから不気味なんだ。何すると怒らせるのかもわからん。気を付けてくれよ!」
そうしてきたわけだが。いや、これ。ボッチ拗らせた奴がコミュ障すぎて周囲に誤解与えてるパターンじゃね?
そしてこいつは強すぎるのが無自覚で、遊んでる感覚が相手にとっては瞬殺レベルの脅威なわけで。
これはアレだな。ずるいけど、口車に乗せて地獄連れて行く方がいいかもな。一度地獄に入ったら、獄卒以外は絶対に出ることができない。たぶんこいつでも無理だ。
お前嫌われてんだけど、なんて言ったらショックでここを動かなくなるかもしれんし、復讐しに行くとか言い始めたら俺じゃ対処できないし。かと言ってみんなも応援してるぞ★なんて言ったら会いに行くとかいいかねないし。ここはゴリゴリいくか。
「給料とか休日とかはちゃんとあるし――」
「そういうのどうでもいい」
「ええっと。じゃあ何か望みはある?」
「遊びたい。雪合戦しよう」
ああそうね、ボッチだもんね。あ、これ俺は何回死ななきゃいけないんだろうなあ。不死の鬼としてうまれた者の運命なのかなあ。
泣くな俺、この子のせいじゃないし今泣いたら目が凍るわ。
「よし、じゃあ俺と遊ぼうぜ」
「うん!」
そうして俺は雪の妖怪たちから恐れられていた雪の怪物「白夜」を地獄に封印することに成功した、として出世した。八寒地獄最下層「摩訶鉢特摩」にて白夜の監視と八層目の管理を任されたわけだが。これ、押し付けられたんだよなどう考えても。
「ヒナゲシ! 氷柱合戦しよう! 俺すげえでっかいの作れる!」
「あと二秒で再生終わるからちょっと待って投げるな投げるなぎゃああああ!」
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