殺人鬼の魂

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殺人鬼の魂

わたしは無理におねがいした。あの殺人鬼と会話させて欲しいと。無茶だと思ったが、わたしはあの殺人鬼を止めるには、わたし以外出来ない。草薙さんは止める。だが、福田さんは異例だが、特別にヤツを会話させてやると言う。そして、わたしはあの殺人鬼と会話する事に決めた。 403号室だ。警官2名が入口に立ち、中には4人いた。そして、殺人鬼、口裂きジャックがいた。仮面をつけていた。先生曰く、火傷していて、傷口が仮面とくっついて、無理に剥がすと顔が剥がれるとのことだ。そして、わたしと口裂きジャックは対面した。 「赤色、黄色、青色。どっちが好き?」 と聞いてきた。わたしは答えた。 「赤色は、お母さんから受けた火、火傷だね。そして黄色は膿が出てきた。青色はあなたの涙でしょう?」  と答えた。口裂きジャックがガタガタと震えていた。冬の寒さで震えていない。これは、歓喜の喜びだ。満足したのか。口裂きジャックから煙が出てきた。みな驚く。そして、殺人鬼から、炎が出てきた。殺人鬼は、ぎゃ!!と悲鳴をあげて、窓から逃げ出した。グシャ!!という音をたてた。みな、驚いてしまった。ここは4階だからだ。急いで向かう。 落ちた場所に向かうとそこには骨しかなかった。真っ黒な墨が人の形をしていた。急遽、検視官達が死体を調べた。子供の骨と分かった。しかも、死後30年は経っていると。福田さんと草薙さんが、わたしに教えてくれた。 これは、怪事件扱いになったみたいだ。わたしは、その骨は口裂きジャックだと思った。彼はあの時、ジッポライターのオイルで死んでいたのだ。そして、それに気づいて欲しくて、殺人をしていたのだ。 噂話は信用出来ないと分かった。 彼は助けてもらいたかったのだ。 それが、偶然、わたし、清水恵子だったのだ。 わたしは、両親に頼み、彼の遺骨を引き取ることにした。福田さんから、許可をもらった。そして、彼をお寺に持って行き、供養した。そのおかげか、口裂きジャックはもう現れなかった。そして、悪夢は消えた。夢の男の子が現れる。そして言った。 「ありがとう」 わたしは彼を忘れない。母親に殺された男の子は助けてと願っていたのだろう。だから、いろんな場所で殺人を侵したんだと。冬だがこんな奇妙なことが起きるなんて思わなかった。草薙さんと福田さんが訪ねてきた。そして、口裂きジャックのお墓に花と線香をあげ、イチゴ大福を供えた。 福田さんが言う。 「この事件は怪事件扱いだよ。幽霊が殺人をしていたなんて誰が信じる?俺も信じられないよ」 草薙さんも同じ意見だった。だが、わたし達は目撃者だった。彼の最期を見届けたのだ。彼の魂が無事に天国に行くように願う。
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