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第4話 過去2
母が再婚した。
わたしは会ったこともない知らない人だったし、どうでも良かった。
でも、そこからまたわたしの苦しみが始まった。
どこで母の再婚の話を聞いたのか、父が毎日のように酔っぱらって電話をしてくるようになった。
「あいつは、男ができたから離婚したかったんだろ? そうなんだろ!」
「お前は知ってて黙ってたんだろ!」
「2人して馬鹿にしてたんだろ!」
どうしてわたしにそんなことを言うのかわからない。
わたしは再婚相手の顔も名前も、本当に知らないのに。
時には祖母の時もあった。
「あんたの母親のせいで、わたしは近所も恥ずかしくて歩けなくなったよ。男を作って逃げた嫁って言われて」
「いとこの娘は、ちゃんとしてるって言うのに、あんたは聞いたこともないような大学に行って、どうしようもないったら」
「あんたは本当にあの母親にそっくりだよ」
知ってた?
お母さんはね、腹立たし気に「ホント、あんたって父親そっくり!」ってわたしに言うんだよ。
わたし、何かした?
あなたたちの子供として、孫として存在してるだけで、離婚したのも再婚したのもわたしじゃないのに。
そのうち母まで電話をしてくるようになった。
「あの人、借金があったのよ!」
それわたしに関係ある? その人を選んだのはあなたでしょ?
顔も知らないあなたの再婚相手に借金があったって話を、娘のわたしが聞かされる理由を知りたい。
そして、その頃になってようやく知った。母は、夫が自分以外の女性と2人で会うことを「浮気」だと思っているということを。
自営業の再婚相手が仕事で取引先の女性と会ったことを知るたびに、「浮気だ」と言って騒ぎ立ててわたしに電話してきた。
毎日毎日かかってくる父や母からの電話が怖くて、夜はスマホの電源を切るようになった。
平穏な日々を手に入れたと思っていたのに、あの人たちはどこまでも追いかけてきた。
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