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弓道部の先輩に聞いた通り、生徒会室に向かう。生徒会室の3つ奥にある部屋と言われて、数える。1つ、2つ……。
「3つ……?」
指定された部屋は、入り口には黒いカーテンがかかっていて、狭そうな部屋だった。元々普通の教室の3分の1ほどしかない生徒会室の、さらに半分くらいのサイズに見えた。
「ほんとにここで合ってるのかな……?」
カーテンで閉まっているせいでまったくわからない。
「なんか、全然違う部屋だったら嫌だなぁ……」
不安になってきて、また泣きそうになってしまった。こんな廊下で思いっきり泣いてしまったら大変だと思い、とりあえず泣き出してしまう前に、思い切ってノックをしてみた。
「は、入りますよぉ……」
ドキドキしながら扉を開けると、中には柊先輩はいなかった。代わりに、ハッと息を呑むような美少女がこちらを見つめていた。こちらを見つめる瞳はとても優しそうなのに、しっかりとした目力のある、特徴的なものだった。そんな彼女のことを、わたしは見たことがある。
「橘愛莉華……」
わたしは目を丸くする。思わず呼び捨ててしまったけれど、この学校内においては先輩なのに、やってしまったかもと思ってしまう。それでも、橘先輩は優しくわたしに声をかけてくれた。
「あなた、知り合いだっけ?」
スラリと背が高く手足も長い、目鼻立ちくっきりした、二次元から飛び出してきたような美人さん。薄めのブラウンカラーに染めた髪の毛を巻いている彼女は、制服を着ていてもかなり強いオーラがある。そんな彼女のことを、わたしはよく知っていた。ただし、わたしのほうだけ。わたしは、橘先輩の質問には首を横に振った。
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