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「あの、この間のドラマ見ました……。『静かに愛を注ぐ』に出てましたよね……?」
わたしが答えると、橘先輩が微笑んだ。
「わたし、あのドラマの中ではそんなに目立ってないと思うけど、よく見てくれてるんだね」
ヒロインの妹の役で出ていて、たしかにそこまで出番は多くない。毎話セリフは多くて10個くらいだろうか。けれど、大きくて目力の強い瞳がとても印象的な美人だったから、少し見るだけで覚えてしまっていた。
「ところで、どうして橘愛莉華さんがここにいるんですか?」
わたしが首を傾げると、橘先輩が笑う。
「いきなり入ってきて、ずっとここにいるあたしのことを部外者にするのはちょっと酷いんじゃない?」
それもそうかと思って、わたしは気を取り直して質問を変える。
「橘先輩も弓道部に入ってるんですか?」
「そうだよ。まあ、わたしもって言っても、キュウドウブの部員はあたしとあやみん先輩の2人だけだけどね」
「あやみん先輩って、柊先輩のことですか?」
柊綾美であやみんだったら嬉しいな、と思う。わたしはドキドキしながら尋ねた。その答えが肯定なら、わたしはこの部活に入ることが確定する。ドキドキしながら答えを待っていると、橘先輩があっさり、そうだよ、と認めてしまった。答えを聞いて、一気に気合が入った。
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