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「あやみん先輩お疲れ様で〜す」
橘先輩が部屋の中に入ってきた柊先輩に向かって笑顔で手を振った。
「お疲れ様」
柊先輩は答えたのと同時に、わたしの方を見た。澄んだ瞳がわたしを見つめてドキリとしてしまう。橘先輩もかなり綺麗な人だけれど、わたしはやっぱり柊先輩に目を奪われてしまった。
「あなたは入学式のときの」
「柊先輩! あのときはありがとうございました!」
わたしは勢い良く頭を下げた。
「わざわざお礼を言うために部室まで来てくれたの? 嬉しいけれど、別にそこまでしなくても大丈夫よ?」
「いえ、今日はお礼を言うためだけにここに来たわけではありません」
「じゃあ、何しに来たのかしら?」
この間も入部希望だと伝えたにも関わらず、柊先輩は首を傾げていた。そんな柊先輩に、橘先輩が呆れたように答えた。
「この子、うちの部活入りたいんだってさ」
「うちの部活……? ねえ、愛莉華、まだこの子がここにいるっていうことは、まだ部活の具体的な活動内容伝えてないのよね?」
もちろん、と橘先輩が大きく頷いた。
「伝えようとしたらあやみん先輩が来たから、何も言えてないですよ。それなりに強い意志でここに来たみたいだけれど、まだ弓の方の弓道と勘違いしてるみたいだから、どのくらい本気でキュウドウ部に入りたいのかは未知数ですね」
柊先輩が大きくため息をついた。
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