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「かなり真剣な目をしているし、わたしは萌桃の入部に異論はないわ」
「えぇ、でも……」と橘先輩はあまり賛成はできなさそうに言う。
「真の目的が私であったとしても、泣道を初めから知っている上で、真面目にやりたいと言ってくれる子を拒む必要はないわ」
橘先輩がまだ不服そうだったから、柊先輩が続けた。
「それに、団体戦に出られる人数になったら、純羽がわたしを許して入部し直してくれるかもしれない」
柊先輩の言葉を聞いて、萌桃が一瞬柊先輩のことをかなりキツく睨んだような気がしたけれど、柊先輩も橘先輩も特に何も言わなかったから、気のせいだったのかもしれない。そんなことを考えていると、次はわたしに声がかかる。
「あなたも、泣道部での活動を真剣にやってくれると言うことでいいのよね?」
柊先輩が今度はわたしの瞳をジッと見つめる。澄んだ瞳に見つめられて、そのまま蕩けてしまいそうだ。わたしは、「も、もちろんです……!」と慌てて返事をした。それを見て、柊先輩は優しく微笑んでくれた。
「なら決まりね。今年は新入生が2人も加入してくれた」
パチパチパチと柊先輩は一人で手を叩いていた。
「ま、まあ、あと一人で5人だから、確かに純羽先輩に帰ってきてもらうには丁度いいのかも……」
橘先輩は、少し怯えたように柊先輩の方をチラリと見ていた。橘先輩と柊先輩がさっきから言っている純羽という人物のことは全くわからなかった。純羽という子のことも気にはなったけれど、それ以上にやっぱり不快そうな表情で2人のことを見つめている萌桃のことも気になってしまったのだった。綾美先輩目当てで入部は決めたものの、なんだかこの部活、不安なことだらけな気がしてきた……。
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