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「あの、先輩……。わたし、まだ部活動どこに入るのか決めれてなくて……」
柊先輩が部長をしているという弓道部に誘ってくれないだろうか、なんて淡い期待を抱いてみた。
「まだ入学したばかりだものね。うちの学校楽しい部活いっぱいあるから、自由に選んだらいいわよ」
けれど、柊先輩は誘ってくれはしなかった。
「先輩、わたし弓道結構興味あって……」
今度は直接弓道部に興味があると伝えてみる。
「そっか。楽しいと思うよ。野々原さんがやってみたいと思うのなら、やってみたらいいと思うわよ」
柊先輩はどこか他人事のように答えていて、やっぱり手応えはあまり無い。だから、さらに直接的に伝えた。
「わたし、先輩のいる弓道部に入りたいです!」
「えぇっ!? やめた方がいいわよ!」
柊先輩が大きな声で拒絶した。このパターンで拒まれることあるんだ、とわたしは困ってしまう。
「ダメですか……」
拒まれるとは思っていなかったから、このまま帰りたくなってしまう。気付けばまた目が潤んでしまっていた。柊先輩は困ったようにわたしの表情を確認していた。
「す、すいません……」
「謝ることないわ。泣くことは人にとって、とっても大切なことだから」
泣いたらもっと困らせてしまうのではないだろうかと心配したけれど、柊先輩は冷静だった。再び、ハンカチで目を拭ってくれた。
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