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「あれ? ここって弓道部じゃないんですか?」
「弓道部だよ。でも、柊先輩のいる弓道部じゃないかな……。柊先輩って、生徒会長のことだよね?」
「そうです! 弓道部にいるって聞いて、追ってきたんですけど……」
わたしは困ったように首を傾げると、先輩も困ったように笑っていた。
「うちの学校、弓道部の他に、キュウドウ部もあるから……」
「弓道部が2つあるってことですか?」
「キュウドウ部が2つあるのはあるけれど、多分、もう一個の方はあなたの思ってる弓道部じゃないと思う……」
わたしはどういうことかわからずに首を傾げた。
「一応、キュウドウ部は生徒会室の3つ奥にある狭い荷物置き場みたいなところで活動してるから、良かったら行ってみたら? 多分行ってみたら、意味がわかると思うから……」
先輩が苦笑いをしながら、教えてくれた。わたしはそこの教室に向かうために靴を履いた。
「すいません、ありがとうございます!」
「良いのよ。……まあ、もしキュウドウ部が合わなかったら、うちの弓道部に来ても良いからね?」
「お心遣いは嬉しいですけど、わたしは柊先輩を追って行くので大丈夫ですよ! ありがとうございます!」
わたしが去って行こうとした後、後ろから小さな声で先輩の声が聞こえてきた。
「みんな柊先輩とか橘先輩目当てでキュウドウ部に行くけど、結局誰もキュウドウ部には残らないんだよね……」
「まあ、あの活動内容じゃね……」
一体どういうことなのだろうかと、また不安になる。それでも、わたしは柊先輩に会いに、もう一つの弓道部の部室を目指した。
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