第1話 東京's転校生 in O阪'sど真ん中

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「東雲はメジロっていう、池袋の近くから越して来たんやって~」  なんなんだ、こいつ~! 大声で個人情報を!  呆れる東雲の横で西門が立ち上がって得意そうに説明した。 「トリみたいなトコやな」  と、何人もが同じことを口走る。  お約束か! 思ったことは言わないと気が済まないのか、関西人は。 「やっぱ、巨〇ファンかいな」 「前も男子校やったん?」 「彼女おるん?」 「頭ええな~」 「部活は何や?」 「何でこんな遠いトコ、越して来たん?」  え? え? 矢継ぎ早ってこういうの?  「みんな~、質問ばっかしするもんやから、東雲めっちゃビックリしてるやんか~、な? 東雲」  屈託なく笑う西門の口から小さな八重歯が見えた。 「…う、うん。あの…。前は共学で…その…。親の転勤で…」  関西人は初対面でいきなり給料の額を聞くって、テレビで見たことはあったけど…。でも、こんな風に質問責めにするか~?  何をどう答えていいか解らず、東雲は戸惑いつつトイレへ逃げ出した。
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