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「東雲はメジロっていう、池袋の近くから越して来たんやって~」
なんなんだ、こいつ~! 大声で個人情報を!
呆れる東雲の横で西門が立ち上がって得意そうに説明した。
「トリみたいなトコやな」
と、何人もが同じことを口走る。
お約束か! 思ったことは言わないと気が済まないのか、関西人は。
「やっぱ、巨〇ファンかいな」
「前も男子校やったん?」
「彼女おるん?」
「頭ええな~」
「部活は何や?」
「何でこんな遠いトコ、越して来たん?」
え? え? 矢継ぎ早ってこういうの?
「みんな~、質問ばっかしするもんやから、東雲めっちゃビックリしてるやんか~、な? 東雲」
屈託なく笑う西門の口から小さな八重歯が見えた。
「…う、うん。あの…。前は共学で…その…。親の転勤で…」
関西人は初対面でいきなり給料の額を聞くって、テレビで見たことはあったけど…。でも、こんな風に質問責めにするか~?
何をどう答えていいか解らず、東雲は戸惑いつつトイレへ逃げ出した。
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