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ふ~ん。ここは男子校だから、そりゃ当然大事な視点だよな。興味ないわけじゃないけど…。あ、でも、西門ってファンクラブがあるんだっけ…。
東雲は身を乗り出し、宇野の手のスマホを見直した。
「やっぱり行く」
ちょっと気になるじゃん。高校生のファンクラブなんて初めて聞くし。
東雲はもともと他人の動向にはてんで興味がない。けれど不思議と目で追うのは西門の姿だ。席が遠くなったせいか、東雲は却って西門の動きを観察できるようになった。
笑い声がなんでこんなに響くんだろ。手が大きくって、すぐ人の肩叩くよな。…あ、また船こいでる…。
「東雲~。何、ひとりでクスクス笑ってんねん」
振り返った佐々木にそんな風に突っ込まれる。
「え? いや、その…」
いや、別に何でもないよ。別に…西門、見てたらちょっと面白かっただけで。ずっと見てるわけじゃないさ!
「変な奴っちゃな~」
慌てるさまを見下ろした細い目が笑った。たこパを境に、彼はずっとクラスに溶け込んできた。それは西門のおかげに違いなかった。
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