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正直言って、バスケのルールもよく知らない。でもまあ、西門が出るなら…。ちょっと見ておいてもいいよな、話のネタにさ。
そんな東雲が向かった市立体育館は、手前の広場からすでに人でごった返していた。
初夏に向かう日差しが熱い。さまざまな制服と色とりどりのユニフォームの連中の熱気でさらに熱かった。
何でこんなに人が…特に、女子がいるんだろ。
男子バスケ部の大会なんだから、殺伐としてると思いきや意外に華やいでいる。そんな雰囲気に少し気後れしながらも、宇野に言われた体育館裏に回る。
と、みんなより頭一つ抜けた西門のツンツン頭が見えた。
「西…」
声をかけようとして、ドン、ガン!と、東雲は人混みに押された。
うわッ! 痛って! 何だよ!
「栗栖く〜ん!」
「西門くん、頑張って〜! 栗栖くんも~」
数人の女子高生の黄色い声が、東雲の声を搔き消した。
何なんだ、こいつら~#。
東雲を押しのけて駆けていく女子たち。高校生には似合わないキツイ香水が鼻をつく。短いスカートが翻った。
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